汚染、毒物流出、乱獲、ゴミ問題、、、、
人間が海に対して行ってきたしっぺ返しが、これまで研究者が指摘してきた以上のスピードで進んでいるようです。
World's oceans in 'shocking' decline
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-13796479 (以下の訳は私がしました。文責:Kiki)
2011年6月20日
世界の海洋生物はショッキングなほど減少している BBCニュース、環境担当、リチャード・ブラック記者
<キャプション>複数のストレスにさらされているサンゴとサンゴ礁に住む魚は人の時代に崩壊してしまう可能性
ある科学者は、今の海洋状態は以前に予測されていたよりずっと悪い状態にあると指摘しています。
新しく出たレポートによると、専門家たちは海洋生物について「人類の歴史において前例のない海洋生物絶滅の局面に入ろうとしている」と警告しています。
専門家は、乱獲、汚染、気候変動といった要素がこれまでに知られていかった方法でこの問題に影響していると結論づけています。
この影響はすでに人類にも現れていると、レポートでは言います。
インターナショナル・プログラム・オン・ザ・ステート・オブ・ジ・オーシャン(IPSO)が開催したパネルディスカッションにはサンゴ礁専門の環境家や毒物専門家や水産業の科学者を含む、さまざまな専門家が集まりました。
その正式なレポートは今週末に発表されます。
IPSOの科学分野の責任者であり、オックスフォード大学の保護生物の教授であるアレックス・ロジャースは「この発見はショックだ」と話しています。
「われわれ人間が長年にわたって海に行ってきたことが、どうやら私たちが把握していたよりもずっと悪い状況になっているようです」
「あるフォーラムでは、それぞれが自分たちがこれまでに見てきたことについて話していましたが、海洋状態の変化が過去何百年にわたり人類が見たこともない、想像したこともないほどの速さで海洋環境が崩壊しているという結論に達しました。」
こうした加速化した変化はグリーンランドや南極で氷が溶け、海面レベルが上昇しているという事実や、海底にたまっているメタンが放出されていることも含まれます。
迅速な変化 オーストラリア、クイーンズ大学のサンゴ専門家であるオベ・ヒューゴ・グルドバーグ氏は「数年前に比べても、変化の速度が速まっている」と言います。
「だから、もしすべてのものを見るのであれば、気候が温和な地域の水産状況かサンゴ礁か、もしくは北極海の氷だけを見るのではなく、これらすべてが現在起こっている変化を見るべきです。しかし、それは我々が考えていたよりもずっと速い速度で起こっているのです」
しかし、このチームは、この事実よりももっと憂慮すべきことは、異なる問題が海にとって相乗的にリスクを高くしているということだと指摘しました。
たとえば、汚染をとってみましょう。水面にプラスチックの破片が浮かんでいたものが、今では海底で見つかるようになっています。
これは、海底に住む魚にとっての汚染源の量が増えたことを意味します。
プラスチックの破片は藻類をあちこちに運ぶのを助けます。それにより、毒性のある藻類が増えます。毒性の藻類は、農地で撒かれた農薬の海洋流出によっても起こります。
広い意味で言えば、海洋が酸性化しているのも警告だし、地域的な汚染や乱獲が一緒に存在しているのもサンゴ礁にとっては脅威が増すものです。いまや世界の4分の3のサンゴ礁が深刻な高リスクに面しているのです。
堆積した炭素 これまで、地球は5つの「集合体の絶滅」を経験しています。過去のものは隕石が落ちたことによることなどが原因ですが、今回は6番目の経験であり、人間もその原因に加担しているという人もいます。
IPSOのレポートでは、これを確定するにはまだ時期尚早だと締めています。
しかし、危機的傾向はすでに起こっていると専門家たちは言います。しかも、過去の5つのケースよりずっと速い速度で進んでいるというのです。
「現在、われわれが目にしていることは、化石の記録にも前例のないことです。環境の変化はずっと速く起こっているのです」とロジャー教授はBBCニュースに話しました。
「われわれはまだ世界で生物多様性を維持しています。しかし、実際に絶滅した割合は過去に起こった5回のケースに比べてずっと高くなっています。われわれが現在直面しているのは、確かに地球規模で重大な絶滅の体験なのです」
レポートはまた、過去に起こった集団的絶滅は現在見られる状態、たとえば炭素循環のバランスが狂っていることや海水の酸性化、また海水の酸素減少と関連していると指摘しています。
海洋に吸収された二酸化炭素のレベルは、すでに5500万年前(暁新世紀-第三紀: PETM)に海洋生物が絶滅した値をかなり上回っていると結論づけています。
青い地球 レポートの結果は今週末、ニューヨークの国連本部で行われる政府代表によって行われる海洋ガバナンス改革の議論の場に提出されます。
IPSOの即時的な推薦は
・搾取的な漁業は直ちにやめるべき。特に規制の及ばない公海においての乱獲はすべきでない。
・公害となるプラスチックや農薬や人間が出したゴミのマップをつくり、公害物質の減少に努める
・温室効果ガスを大量に減らすこと
二酸化炭素のレベルは、現在とても高くなっていて、そのため、大気から二酸化炭素を取り除く研究を至急行う必要がある、しかし、その方法はより多くの二酸化炭素を海に流し込むような鉄分を含む農薬を使う方法ではない、とレポートでは指摘しています。
「我々は20年程以内に二酸化炭素排出量を下げなければいけない」とヒュー・ゴルドバーグ教授はBBCの取材に対して話しました。
「もし我々が直ちに対応しなければ、海が着実に酸化していき、熱が豊かなケルプの森やサンゴ礁を消滅させていくのを目の当たりにすることになる。そうなると今までの海とは全く違った海となってしまうだろう」
別のレポートの作者である世界保護知育委員会の海洋担当であり、国際自然保護組合(IUCN)のダン・ラフォレイ氏は、私たちに課された課題は大きいと認めています。
「しかし、前の世代とは違い、我々は今何が必要か知っているのです」と彼は言います。
「我々の青い地球を守るのは、まさに、今、この時なのです」
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