とても悲しいニュースを見つけました。
東北地方で養殖業を営んできた人たちが、「養殖をやめたい」といっているというのです。
その数も半数というから、深刻です。
たとえば、岩手県は震災前はワカメ、ホタテ、昆布、牡蠣、鮭の養殖が盛んです。
震災前、養殖ワカメは日本一の生産量だったのです。
記事から現地の方々の辛い現状が鮮明に浮かび上がります。
私たちに何ができるでしょうか。
できるだけの協力をしたいと心から思っています。
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●「養殖やめたい」岩手の漁協困窮
2011年6月7日0時0分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201106060488.html 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県中南部の養殖漁業で、廃業を望む漁師の割合が5割以上となっている組織が漁業協同組合内で相次ぎ、一部では7割に達していることが分かった。各漁協は「素早い公的支援がなければ岩手の漁業が崩壊しかねない」と危機感を募らせている。
県内24漁協のうち12組合が5日までに主に養殖の継続について、ホタテなど種類別に組合員の意向を調査してまとめた。各漁協の調査方法は異なるものの、約半数の組織で廃業を望む漁師が5割以上となった。継続希望者は全体を平均すると3分の2にとどまる。
震災前に80人がワカメやホタテを生産していた吉浜漁協(大船渡市)では、55人が「廃業したい」と答えた。大船渡市漁協のホタテ養殖では、45人中継続を希望するのは17人にとどまる。大槌町漁協のワカメ養殖でも、継続希望は60人中25人と4割に過ぎない。
8割が継続を希望する三陸やまだ漁協(山田町)でも、半数以上が国の支援などを条件につけた。
また各組合によると、漁師らの間では、組合を脱退して返還される出資金を生活資金に充てたい、という考えが出ている。返還が可能になる来年3月ごろに離漁者が続出する恐れがある。
岩手県の養殖ワカメの生産量は全国の半分近くを占めて1位。養殖昆布も北海道に次ぐ2位だ。それだけに漁業関係者の危機感は強く、田野畑村漁協の工藤求(もとむ)組合長は「国の支援はスピード感がない。無策のままだと漁をあきらめる人がますます増える」と焦る。
国を待たない独自の動きも出始めた。小本浜漁協(岩泉町)は生活資金として1人20万円の見舞金を支給。町と協力して漁船購入を補助する。釜石東部漁協は、組合員で共同利用するため漁船19隻を発注した。
重茂漁協(宮古市)の伊藤隆一組合長は「国は『面倒を見る』姿勢を示して我々を安心させて欲しい」と訴えている。
■「年取り借金できぬ」
市街地が壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町。町内の漁協に所属するワカメとホタテの組合組織は5月末、解散を決めた。10~30人が所属し、収穫や出荷を助け合ってきたが、高齢化が進み、出荷量は減り、仲買人に買いたたかれることも増えていた。そこに、津波が追い打ちをかけた。
「仕方がない」。同町でホタテなどの養殖をしてきた女性(63)はつぶやいた。夫を津波で亡くし、自宅や養殖用の資材、漁船が流された。「船や資材をそろえると1千万円以上かかる。年を取って借金できない。悲しいけれど、津波がやめるきっかけになった」
ワカメの養殖などをしてきた男性(67)も、漁を続ける気力が残っていない。「妻や息子と切り盛りしてきたが、2人とも津波にのまれて遺体で見つかった。1人ではやれません」
4月末からアルバイトで生コン会社のミキサー車を運転するのは、同県大船渡市でホタテ養殖をしていた道下孝人(たか・と)さん(47)。2年前に買った船は無事だったが、養殖施設は壊滅し、借金だけ残った。育ち盛りの子が3人いる。「いつかは漁に戻りたいが」と話すが、当面はミキサー車のハンドルを握るつもりだ。
同県宮古市田老で80年近く漁に携わってきた松本永次郎さん(93)も津波で2隻の漁船と家を失った。漁協は共同で漁を再開させる方針だが「自分のやり方と合わない」。漁を続けるかどうか、悩んでいる。
●震災の水産業被害、総額8952億円 水産白書
2011年5月27日12時17分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201105270220.html?ref=recc 農林水産省は27日、東日本大震災の津波による水産業の被害額(16日現在)が、8952億円にのぼったとする2010年度の水産白書を発表した。岩手、宮城、福島3県を中心に、319漁港で約6400億円の被害が出るなどした。
漁船は、津波で2万隻余りが陸に乗り上げたり海に流されたりして、約1300億円の被害。水産加工施設も、宮城県で400を超える工場のうち半数以上が全半壊するなど、生産基盤の多くが失われた。漁港被害は、復旧・修復すると仮定し、それにかかる金額をはじいた。
青森県から千葉県にかけての太平洋側の漁業・養殖業は、全国の生産量の24%(127万トン)を占めており、農水省は早期の復興が重要だと指摘している。
また、白書によると09年の国内漁業・養殖業の生産額は、魚価が安値で推移したことなどから、前年比9.5%減の1兆4730億円と落ち込んだ。漁業就業者数は4.6%減の21万2千人で、減少に歯止めはかかっていない。
09年度の魚介類の自給率は62%で、3年連続の横ばいだった。国民1人あたりの魚の摂取量は06年に初めて肉を下回り、その後も減り続けており、白書は若い世代の魚離れに懸念も示した。
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