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NHKスペシャル「クジラと生きる」を観て

昨日、NHKスペシャル「クジラと生きる」を観ました。

太地町は捕鯨の町として知られている町です。
その歴史は400年近くあり、昔は捕鯨をして人々は生計を立てていました。
しかし、今や、日本は食の豊かな国となり、今ではクジラ肉を食べる人はめっきり減っていると言います。

Nスペは、クジラ漁師たちが海外の反捕鯨団体のメンバー(といっても、画面に出てくるのは シーシェパード のメンバーばかり)たちに嫌がらせを受けながら、悩み、自問自答しながら、生きているというヒューマンドラマに仕上げていました。
そういう視点でいけば、この番組の出来は悪くはありません。
他局がしょっちゅうやるような誤情報もありませんでした。
(※ 5月27日: 美熊野政経塾さんのHPでは、この番組中で誤った情報を指摘なさっています。こちらで確認できます。
 http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku

しかし、この番組には、反捕鯨団体がなぜあそこまでするのか、大切なメッセージが抜け落ちていました。

シーシェパードのやり方は私も見ていて閉口しました。
そして、あの閉口するような稚拙なやり方で漁師を攻めるが故に、この番組の枠組みが出来上がってしまったのだなとも感じました。

しかし、反対する人たちの意見は 「イルカが可哀想」 だけではありません。
(※番組中で、敢えて クジラ という単語を連発することについて、違和感がありました。というのは、実際に漁師たちが捕らえる多くは、体長4メートル以下の イルカ が大半だからです。ですので、敢えてここでは イルカ という言葉を使うことにします。)
そこには、海における食物連鎖の頂点に立つイルカやクジラの数が激減しているという、環境保護の観点もあります。
海からいただいたものを大切に食べるのは悪いことではありません。でも、野生のイルカたちの中には、数が激減し、いずれ絶滅を危惧される種のものも少なくないのです。そこまでして人間が食べる必要があるのか、と訴えているのです。

もうひとつは、イルカをショーや水族館などに売るイルカビジネスです。
イルカ猟のシーズンはじめの9月、10月頃は、畠尻湾に追い込まれたイルカ達はまず、イルカショーの施設に売られるために選別されます。トレーナーや水族館の職員たちが、畠尻湾に集まり、水族館向けの子たちを選別します。
イルカは一族で群れになって行動をする生き物ですが、この段階で、水族館用に選別されたのイルカ達は、親兄弟と引き離されて飼育されるためにいけすに移動させられます。
そして、選別されずに残ったイルカ達は殺されて、食肉として流通するのです。

太地は、バンドウイルカらの輸出の拠点です。太地では、毎年、バンドウイルカ、まだらイルカ、スジイルカなどが捕獲されます。これらは、水族館やイルカショーなどでおなじみの、くちばしのある笑ったような表情をしているイルカです。
ここから何十、何百という世界中の水族館に毎年多くのイルカ達が輸出されているのです。年間何千万円、年によっては何億円という額が、生きたイルカの売買によって動いているのです。このことには、番組中では一切触れられていませんでした。
イルカの売買を行うのも太地の400年続いてきた文化なのでしょうか。
太地で行われるイルカ猟は、いまや400年前とは違い、単純に食肉を目的としたものだけではなくなっているのです。

そして、海外の活動家たちが公開したというビデオ。
あれは、イルカがいかに残酷な殺され方をしているかということを説明しています。

確かに牛や豚が殺されるシーンは誰も見たくありません。同様にイルカが殺されるシーンも見たくないでしょう。
しかし、屠殺される家畜たちは、できるだけ苦しまずにすむように殺生しています。それが人間の配慮なのです。しかし、畠尻湾で殺されるイルカ達は、脊椎を棒なもので突つかれ続け、何十分にもわたって苦しみ、もだえながら死んでいくのです。なぜ、一発でしとめて殺してあげないのでしょう。
流血で赤く染まる湾を撮影されたくないからなのでしょうか。
そして、その結果、最も被害をこおむっているのが、イルカ達なのです。

メッセージは「イルカは知性が高いから」だけではありません。
地球全体の資源であり、自然界の仲間であるイルカ達の数は年々、確実に減っていること、そして、そんな彼らが見世物として、毎年世界中の多くの水族館に輸出されていること。

そして、もうひとつ、食肉として流通しているイルカ・クジラの肉にはPCBやメチル水銀といった体に有害なものが多く含まれているということです。
これの情報は厚生労働省からもすでに発表されている公式のものです。

厚生労働省、鯨由来食品のPCB・水銀の汚染実態調査
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0116-4.html

ヒューマンドラマとしての構成はさすがNスペ、というものでしたが、ここまで情報をそぎ落としてしまっては、日本人は、イルカやクジラを殺すことについて、世界水準でエコロジーを考える民族とは同等に渡り合うことはできないだろう、と感じさせられました。
今、世界で行われている議論、それは、サステナビリティ(持続可能)であり、環境保護であり、食の安全の問題、そして乱獲の問題なのです。
そして、これから、人間がいかに自然と調和して暮らしてゆくのか、それが次の世代に向けて突きつけられた課題だと思うのです。

ヘルプアニマルズ さんのブログ にも
Nスペの感想が掲載されています。
http://helpanimals.jugem.jp/?eid=227

※何をどうしたか、この記事を手違いで削除してしまい、再度アップしました。
拍手をくださっていた方々、大変ありがとうございました。いつまでたってもITイリタレ-ト(illiterate)な自分が不甲斐ない。。。
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