先日、とある勉強会に行ってきました。
食品放射能に関する勉強会でした。
「一体、今、私たちの食の放射線による汚染はどれくらいなのだろうか」「私たちは安全なものを口にしているのだろうか」という疑問を持つ人は少なくないでしょう。
この勉強会には、食品の販売業者もプレゼンテーションをしてくれたので、政府の数値だけではなく消費者の視点による数値も発表されたので、食品汚染の現状把握ができ、また私たちが今後どのように汚染された土壌と向き合っていくのかその指針的な考え方をもてる良い勉強会でした。
穀物や野菜といった陸の食品は、きのこ類やたけのこなどの菌のつきやすいものを除けば、軒並みセシウムの量が減ってきているのが現状だそうです。土にもセシウムが含まれているようなのですが、それを植物が吸収する量は少ないらしく、私が予想していたほど検出されていないのが現状のようです。
今は、食品検査をしている業者や自治体も相当増えているらしく、検体を持ち込めば一般市民でもテストしてくれるサービスもあります。ただし場所は限られますが。
一方、あまり数値が出てこないのが海産物です。
福島第一から流出している汚染水がどれくらいなのかわかっていないことや、海流の影響で汚染範囲が特定しにくいこと、また、回遊魚など移動範囲の広い魚の場合、軌道やその時期を特定することが難しいことと、食物連鎖による汚染はするだろうが、いわゆる生物濃縮係数というものは、コト回遊魚には当てはまり難いのだそうです。
つまり、調査をするにも実態のつかみにくい条件が多くあるとのことでした。
ただ、今は福島第一のそばを除けば、太平洋沿岸でとれる小型の魚は一部を除いて比較的数値が低いようです。
その一部も、魚の生態的な特性によるものが大きいようです。例えば昨年数値があがって販売規制の入ったコウナゴや今年に入っても高い数値をだすスズキは、土の中にもぐる習性があったり、川と海を行ったり来たりするため、体にミネラル分をため込みやすい性質があるそうです。(放射性物質はミネラル分なので体が取り込んでいく。)
一方、三陸沖のワカメは今でも、汚染が懸念されているようですが、それほど数値は高くないとのこと。
日本の食卓でワカメが出なくなると、食生活の上でもかなりの打撃となりますので、このニュースを聞いて少し安心しました。
むしろ私たちが憂慮すべきなのは河川のようです。
311直後から金町浄水所など、東京都の東側部分の水道水から放射性物質が多く検出されていますが、これは川が汚染されているからのようです。
ご存知のように、関東圏では、茨城県と栃木県、千葉県北西部や埼玉県東部、東京23区の東部にはホットスポットが点在しています。
このため、上流からくる川の水に汚染水が含まれ、また、関東平野のホットスポットにある支川が合流を重ねることにより、さらに汚染度が高くなっているようなのです。
千葉と茨城の隣接するあたりには沼も多くあります。太古の昔、この辺りは海だったらしく、そのため、この辺には沼が多く、湿地帯となっています。その上ホットスポットなので、河川の汚染度がここに来てさらに高まり、その河の水は東京湾に流れ込みます。こうして、先日も報道された、東京湾の高濃度放射線汚染の話につながるのです。
しかし、では東京湾の魚介類は食べてはまったくいけないのかといえば、そこまで数値には出ていないようです。
この勉強会で初めて知ったのですが、東京湾は世界でも有数の漁港で、ここでは大きな回遊魚を除いたほとんどの魚介類が水揚げされ、その消費は東京、千葉、神奈川の近県で消費されています。
最近、アメリカ西海岸でクロマグロから放射性物質が検出されたというニュースがありましたが、回遊魚で大型となると、食物連鎖による濃縮度も高くなっているのでしょうが、東京湾には大型回遊魚はいません。
ただ、東京湾の魚介類も現時点での話なので、今後も数値には注目すべきでしょう。
東京電力による海域モニタリングのプレスリリース:
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/index-j.html
文科省による海域モニタリングのページ:
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/list/238/list-1.html
農水省の淡水魚モニタリングのページ:
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/suisan/tansui.html
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